金融庁「円滑な事業承継の一助に」 地銀にガイドライン調査
2019/04/12
金融庁は4月11日、地域銀行に対する「経営者保証に関するガイドライン」のアンケート調査の結果を公表した。
経営者保証に関するガイドラインは、経営者の個人保証について法人と個人が明確に分離されている場合、経営者の個人保証を求めないことなどを定めており、経営者保証の弊害を解消し、経営者による思い切った事業展開や早期事業再生などを応援することを目的としたもの。
金融庁では、担保・保証に過度に依存しない融資の促進の取組みのひとつとして、「経営者保証に関するガイドライン」が融資慣行として浸透・定着するよう、金融機関に対してガイドラインの活用を促している。
今回の調査は、地域銀行105行を対象に実施。それによると、ガイドラインの活用促進により受けられる付随的なメリットとして「顧客との信頼関係に繋がった」とする地銀は74%で、「職員の目利き力の向上に繋がった」は53%、「他行との差別化やブランド力強化に繋がった」は26%だった。
また、「円滑な事業承継に繋がった」とする地銀は52%で、金融庁では「ガイドラインの活用促進は、事業承継時において顧客の円滑な事業承継の一助になる」と考察している。
一方、貸出債権に対する経営者保証からの回収率をみると、回収率を把握している地銀のうち、6割以上が1%未満の回収率に留まっており、金融庁では「経営者保証を徴求することは、回収を前提とした保全としての役割ではなく、経営者の規律付けのための役割として期待しているものと考えられる」とみている。